
先日、取材でおじゃました料亭は、お庭がとても広くてきれいやった。
落椿が春を告げ、風情を増している。

せせらぎの奥には小さい池があって、鯉が泳いでた。人の気配を感じ、わらわらと寄ってきて口を開ける。ごめんよーエサ持ってないねん。というても解るはずなく、パクパクしてるのを見ると申し訳なくなってきた。いつぞや、南郷水産へいったときは、えげつない量の鯉が押し寄せていっせいに口を開けてた。他の鯉の上に身を乗り出し、今にも陸に上がらんばかりの勢いのもいて、持ってる麩(鯉の餌)があまりにも少なく「悪いなぁ、みなに当たらんで」と思うたのに比べたらかわいいものであるが。あの時の鯉は、ヒッチコックの鳥みたいやった。

さて、ぬくなってきて桜のつぼみもほころびかけてる。
公団の大島桜も一つ二つ咲いていた。

「足下も見てー」と、声をあげるスミレ。あんたもかわいいで。

かわいいといえば、我が家の山椒の木も新芽が出てきた。
今年も枯れんとありがとう。竹の子出てきたら、木の芽和えさしてな。

そんな春の気配を目で楽しんでたら、舌にもうれしいたよりが。学生時代から仲良しのエリちゃんは神戸出身で、京都に引っ越してからも毎年イカナゴの釘煮を炊く。ダンナさんいわく「あれは風土病やさかい」とのこと。そんな味の春だよりを届けてくれはったのだ。今年のはちょっと大きめで食べごたえある。このサイズ、すごく好み!濃いめのにごり酒に合わせたら、五臓六腑に染み渡る、春。いつもありがとう、ごちそうさま!

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