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我が家に来てから１週間経った熊犬。ムサにつられて、台所でおねだりポーズをするようにもなってきた。
さて、個人で里親募集をやってはるトリマーさんとこへは、知人の知人を介してきたそう。もともとは、中華料理店を営むおばあさんが飼うてはった。そのおばあさんはチャウチャウ好きで、何頭も飼ってはったそうである。複数同時か、親子代々かわからんけど、とにかく残ったのがこの犬。が、おばあさんのほうが先に逝ってしまわれた。
動物好きの娘さんは嫁ぎ先で猫を飼ってるので引き取れないということで、息子さんが引き取ることに。しかしその息子さんもマンション暮らしの上、世話がたいへなので飼いきれなくなり、「保健所へ送る」と言わはったそう。娘さんがそれは可哀想なので、なんとか飼い主を見つけてもらうようにと、知人にゆだねはったようである。
それが去年の夏。口コミで里親を捜し、地域の譲渡会にも出したけど、皆さん「かわいいー」とは言うものの引き取るには至らんかったそう。28kgある体重に加えて毛がモコモコなんで巨大に見える。この大きさは、ちょっとためらうよね。おまけに限りなく８歳に近い７歳という年齢、後ろ脚が弱ってヨタヨタしてることもあるし。

そんなわけで、トリマーさんの友人でパソコンを使える人が里親募集のサイトにＵＰし、それをたまたま私が見たというわけである。



「おっとりとした子です。番犬はしますが無駄吠えはしません」「少し臆病なところがあり、他の犬に攻撃的なところがあります」「飼い主が亡くなり処分されるところを保護しました」
と、募集のコーナーには書いてあった。で、やりとりしてるうちにチャウチャウとわかった。私は最初、雑種やと思うてたんで、ちょっと意表を突かれた。で、逡巡する。チャウチャウは訓練性能と運動神経が異常に低く、頑固で無愛想。初心者には飼いにくい犬の代表選手やし、個体によっては噛み犬もいる。チャウチャウは視界が毛に覆われて狭いので、後ろから刺激を与えると反射的に噛むことがあるらしい。そういうこともあって、よけいに噛み犬のレッテルを貼られるのやろう。しかも分厚いコートの手入れはめちゃくちゃ手がかかるし、暑さにも弱い。
それとムサとの相性もあるんで悩んだし、とりあえずはトライアルで預からせてもらうことにした。けど、１週間経ち、ムサともうまくやっていけそうやし、正式に譲り受けることになった。

頑固は頑固やけど、ボーッとのんびりした犬である。
で、名前。
元の飼い主さんは「クーちゃん」と呼んではったみたい。トリマーさんも、そのまま「クーちゃん」と言うてはった。てなことで、この名前に反応する。

ほんまは、このくちゃっとした感じは「つぶれぼた餅」とか「熊吉」とかのほうがふさわしい。それともう一つ。かつて、原産の中国では、食用として飼育されていた過去があるらしい。竹馬のようにぎこちない歩行は、激しく活動したら肉が硬うなるので、極力、運動しにくく改良した結果とも言う。
中国の犬料理と言えば「狗肉湯（クーロータン）」。
そんなわけで「クロタン」はどうか？と思うた次第。見た目真っ黒なんで「黒ちゃん」、舌が黒いし「黒舌」にも通じる。そもそも、中華料理屋さんで飼われていたチャウチャウというのは意味深であるが。

ついでにムサも韓国の犬料理「補身湯（ポシンタン）」から「ポシタン」という名前に変えてはどうかと提案したら、同居人に激しく拒否られてしもうた。ま、ブラックと言えばブラック。が、しかし。黒犬なんでそれも良かろうかと。


ちなみに、これは後ろ脚。彼は座るとき、お座りの姿勢からフセをしないで、人間の正座状態でペタンと足を伸ばして臥せる。関節に異常があるのかもしれんけど、太短い足が完全に裏返ってしまう。このあたりも犬らしない。

閑話休題。結局は、慣れた名前で反応するのやし、従来通りの呼び名でエエかということになった。ちゅうことで、このチャウチャウは「クー」です(密かに私は「クロタン」の略と思うてるが)。
「ムサ」共々よろしくね。



さて、我が家の思い出となったワンコ、初代ぱる・二代目ぷんてが元気やったころの話を綴った、京都の言葉で書いた京都のワンコ本をお読みくださいませ。
京風情の中で爆笑・激怒・感涙をさそうこと、うけあいです
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